ワンダーランド

完全週休3日がいいです。

【ネタバレ】映画「ピンクとグレー」感想

 

 

公開初日に見てきたよ!!!
我が推しである加藤シゲアキ×中島裕翔というジャニヲタやってて良かったアワード2016の最初のエントリーとなる映画「ピンクとグレー」
(ジャニヲタやってて良かったアワード2016は急遽開催決定←)


予告で言われている62分後の仕掛けは原作を読んでいれば「あぁ、あれのことだろうな」となんとなく分かるのですが、その後の展開はほぼ映画オリジナルストーリーなので原作を読んでいても新鮮味はありました。
以下、ネタバレも文句も含みますので、観賞済みのどんな感想でもOKという寛容な方だけが読むのが望ましいと思います。

 

 

 

 

<62分後の衝撃>


彩りを持つ前半パートは一見「綺麗」な青春群像劇。
幼馴染として出会い、三角関係もありつつ芸能界という世界に翻弄されていく若者の話。

 

近い存在だからこそ差を意識してしまいドロドロとした感情をぶつけ合うごっち(中島)とりばちゃん(菅田)は見ていて痛々しくて悲しかった。
原作を読んでいる時点ではごっちがエキストラの現場で爪痕を残すまではビジュアル含め大差はついていないと思っていたんだけど、映画ではそもそもの始まりである読者モデルにスカウトされた時点でいろいろ差がついていて、そりゃりばちゃん売れないの仕方ないわwって思ってしまった(笑)

 

前半パートは原作通りの展開なので、シゲが計り知れないぐらいの熱量をかけて執筆した物語が映像化されていることに感動したし、裕翔がキラキラと演じるごっちは物語を本当に綺麗に彩ってくれて自分の脳内では映像化しきれなかった部分が補填されていく感覚がたまらなく心地よかった。

もちろん尺の関係もあるので、あーこのシーンはないんだなと思ってさみしくなる部分もあった。


とりあえず菅田くん演じるりばちゃんが想像以上にダメダメだったので、それ以降の展開を通して見ると菅田将暉が行定監督や裕翔に「天才だ」と言われているのは本当だなと思う。

 

彩りを失いグレーになった後半パートでは
菅田くんはピンクとグレーを見事に演じ分けていて、「これが芸能界だ。」と誰が何のためにつきつけたいのか分からない「汚い部分」を彼が体現していた。
裕翔も、そんな「汚い芸能界」に翻弄され心が死んでいく様を見せてくれた。
初主演で経験値の足りない裕翔が菅田くんによって引き出された魅力は予想以上に惹きつけてくれた。

 

しかし、その「汚い芸能界」をあえて描き「みんな知らないと思うけど、芸能界ってこういうところだから。」と突き付けてくる趣味の悪さを感じた。
原作と映画はそもそもに別物だと考えるべきなのは分かっているが、その辺はどうしても受け入れ難いものだった。
美しくて悲しい物語(小説)は受け入れられるけど汚いものを「ほら、汚いだろう?」と突き付けるだけの物語(映画)はうーんとなってしまった。

本物のサリーがあのパーティー会場にいられなくなったのが私の感覚そのもので、なんだか見ていられないと思った。

 

 

<「なぜごっちは死んだのか?」>


物語の核心であるこの部分。
「62分」で物語の境目ができるけどその前後ともにりばちゃんの視線から描かれ続ける物語なので、どこまでいってもりばちゃんが知りたかったごっちの心情は最後の最後まで分からないままだった。


最後に亡霊なのか幻想なのか、ごっちがりばちゃんの前に現れて「他人の事は分からない、他人にはなれない、それでいい。」と言っていたけどこれがこの映画が伝えたかったメッセージなのだろうか?
自ら死を選び、その後をりばちゃんに背負わせ、りばちゃんの人生を破壊しかねない状況まで追い込んでおきながらこのメッセージって何?ともやもやした。
自分が死して伝えたかったメッセージは人をここまで追い詰めなければ伝えられなかったことなのだろうか?

 

ごっちはお姉さんが亡くなった日に、いずれ自分も散ると決めていた。
でも映画だけを見ているとなぜお姉さんの死がごっちの死につながるのかが理解できなかった。
原作では、お姉さんの死がごっちにどんな影響を与えていたのかをもう少し詳しく書いてあったので、ぼんやりではありながらもごっちが死を選んだ理由が見えていた。それは恋心ではなかったと思う。
ステージに魅了され、身を滅ぼすことも分かっていながらすべてをかけていた姉を見て強烈な憧れを抱いたごっちが、自分も同じようになるであろうとどこかで分かっていながらその世界へ進んでいきあのような結末を迎えたのだと思っていた。

それはお姉さんが自殺を選ぶ場面、お姉さんが遺した遺書があってこそ説明できるものなので映画にそこが出てこないのが疑問ではあった。

それがりばちゃんの「好きだったの?」という問いかけでこの映画の答えを出された。
お姉さんに恋をしていたから、姉と同じようにきらびやかな世界に飛び込み追体験をして同じ結末を迎えることを選んだってただの行き過ぎたシスコンかもしくはそれ以上じゃないか。
そこは恋心だと納得できない。HA?って普通に言いそうになった。

 

綺麗な物語を望んでいるだけなのかもしれないけれど、その結論を選んでしまうとこの映画が伝えるものが後味悪いというかただの1人相撲でしかなくなってしまった。


その遺書(物語)を選んだのはりばちゃんだと言うごっちも、何もかもりばちゃんの作りだした幻想ということにしておかなければもはや救われない。いっそ夢落ちにしてほしい。
もしこの物語を本物のごっちが望んでいたとしたら、りばちゃんが描いた彩りのあるあの世界はやっぱり妄想でしかないし私の好みからは一気にかけ離れてしまった。
最後の「しょーもな」ではモヤモヤが一層増えるだけだった。


「絶望的に素晴らしい世界」が素晴らしいを取った「絶望的な世界」になってしまい、鑑賞後はうーん、うーんと頭を捻ることになった。
ただただ、りばちゃんやサリーがごっちに振り回されただけの物語になってしまっていると思った。

ごっちが最後にりばちゃんを抱きしめて「ごめんな」なんて言うのはずるい。


最後に。
スクリーンに映る裕翔は美しかった。ごっちを演じる儚くて消えそうな裕翔も、翻弄されて一つ一つ自分の中の物を壊されていくりばちゃんの時の裕翔も美しかった。
本物のりばちゃんから見るごっちは可哀そうで儚くて美しいものだったからこそあの「裕翔」が生まれたのだろうし、そんなごっちを作り上げるりばちゃんだからこそあの「裕翔」が生まれたのだろうと思う。

 

グレーパートからの菅田くんも本当に憎らしくて腹立つ~~狂ってる~~~ってなったし、夏帆さんのはじけすぎてる演技も圧倒されるものがあった。

 

 

物語に納得するか、好き好みの問題はあるけれど俳優陣の演技も含め丁寧に作り上げられた映画であると思っています。
原作ファンとして思うところがあり過ぎて、文句タラタラの感想になってしまいましたがそれもひとつと思っていただけると有難いです。

 

シゲがしれっと登場してるのには笑いました(笑)